奥座敷に保管してあった大型の硯箱（重硯箱）です。 外側は全方面において黒漆で覆われており、重厚で独特の輝きを放っていますが、持ってみると国産本漆の柔らかさがあり刺々しさはありません。 ご覧の通り沈金や蒔絵などの文様はなく、一切の華美さと凹凸を除した、正に「漆黒」の外観です。 また、光を透かすと綺麗な柾目（まさめ）が見え、輪島塗の真髄をここに感じることができます。 内面は全て、梨の皮に似せた梨地作りとなっており、更に高級感を彷彿させる華やかな内装です。 漆の箱はもともと大事な物を納めておくためのものであり、この箱は硯箱としてはもちろんですが、文箱としても使用できると思います。 床の間などに置いておけば、黒漆の輝きとその凛とした佇まいに誰もが魅了されることでしょう。 出し入れの際に擦れる縁金が剥げている箇所がありますが、100年近く経っているものとしては良好といえます。 状態につきましては写真にてご確認いただきたく宜しくお願いします。 なかなか市場に出回らない逸品です。骨董品としても、実用的な箱としても末長くご愛用いただけるものと思います。 取っ手（つまみ）がないので引き出しを出す際は工夫が必要です。 横幅　27.0㎝ 奥行き　29.2㎝ 高さ　20.8㎝